ネット販売の光と影

受注業務は大変です

インターネットでは自動販売機のように24時間体制でオーダーを取れます。つまり、いつでもそのお店は開店していて、いつでも「購入手続き」を行うことができます。

ですが販売サイト側ではその先も自動化するということはなかなかできません。いくらオートメーション化しようとしても、人間がそのオーダーを「確認」しないわけにはいきません。これが「モノ」ではなく電子データを販売するようなサイトであれば、購入と同時にコンテンツをダウンロードさせることができます。「電子データ」であれば「在庫」は倉庫ではなく「サーバー」です。しかもそのデータはいくらダウンロードされても減りません。必要なのは「物理的な面積」ではなく、そのデータを保存しておける容量ということになります。そのような電子データ販売では、受注業務は発生しないも同然です。オーダーが確認できれば自動的にダウンロードしてもらえばいいからです。

ですが、リアルな「モノ」を販売している通販では、そのように自動的にモノを発送するわけにはいきません。オーダーを確認する「人」が必ず必要で、そのオーダー情報を「発送伝票」にまで落としこむ工程が発生します。また、何かを「販売している」以上、購入を検討している人からの問い合わせも発生します。そのような人に対しての応対なども、受注業務に含まれてきます。

また、購入を検討した人だけでなく、「購入した」という人からの問い合わせも入ることがあります。それは「不良品」だったということや、「届かない」といったクレームがほとんどを占めます。そのような「クレーム」に対する応答も、受注業務として含まれます。

こうなると、通販の枠組みは極めてシンプルで、「販促し、買ってもらう」という部分、「そのオーダーを処理する」という部分、「その商品を発送する」という部分にわけることができます。この時取り扱っているものが「自社品」であればその商品に対する「サポート」も必要です。そのようなサポートを受けるために専門のセクションを設置したりする場合もあります。ひとつの「モノ」を販売するために、さまざまなスタッフが関係しているということは、一般的な小売店やメーカーとなんら違いはないのです。ただオーダーが24時間、そして世界のどこからでも受けることができるという点が、リアル店舗での販売と違うところでしょう。

受注業務はすべてのオーダーを確認します。その購入情報は「正当なものかどうか」ということです。「いたずら」であった場合はそのオーダーに対して発送した分だけ損だからです。そのようなムダが起こらないように、受注の段階で精査をかけるのです。これは「販売」を続けている限りなくならない業務であり、通販サイトを運営している限り永遠に必要なセクションです。物流と同様に「裏方」ではあるものの、お客さんにとってみれば「レジ」にいる店員と同じ役割になります。

受注チームがしっかりしていなければ、沢山販売してもそのオーダーを捌ききれないということになります。物流に情報が回らなれば、そのアイテムを発送することはできなくなります。そのようなことがあると信用問題に関わります。販売と発送の中継ぎが、受注という業務になるのです。