ネット販売の光と影

「空売り」の恐怖

インターネット通販は、「目に見える、そこにあるもの」を購入するわけではありません。インターネット上のホームページを見て、「そこにあるとされるもの」を購入します。ですから、「これは買えます」という情報を信じて購入することになるのです。

インターネット通販で大切なことは「情報量」と「信頼性」だといわれています。ホームページでは自由になんでも書けてしまうのです。そして、ユーザーはそこに記された情報を信じるしかないのです。そこに記されているのが本当のことなのか、嘘なのかを見抜く方法は確かにあると思います。同じ商品でもさまざまなサイトで販売されていたりするものですから、他のページを見て、記述を比較してみるということもひとつの方法でしょう。ですが、通販サイトで見るものすべてに対していちいちすべての記述を比較するというのはナンセンスなことであったりします。そして、わざわざサイトに記されてあることを疑ってかかるような人は少ないのです。

そこに「書いてある」ということは、サイト側がその記述に責任を持っているということです。その記述は本当のことで、ユーザーがお金を払って買う価値があると、主張しているものです。どのようなものを販売するのであれ、「売る」ということに対する責任を考えたいのです。人にお金を払ってもらうということに対する責任を、考えたいのです。「書いてあること」が間違いであったり偽りであったりすれば、一気にその販売サイトは「詐欺サイト」に格下げになるのです。

購入する際に確認する情報のひとつとして、「在庫」があります。「それがすぐ欲しい、今欲しい」ということに対して、その店舗に在庫があるかどうかということはとても重要なポイントになります。在庫があって、「購入翌日にお届け」などと書いてあれば、購入したアイテムは翌日には届くということです。通販ではさまざまなものを買います。その時々で必要なものが違うのですから当たり前ですが、中には切羽詰まって「すぐ欲しい」と考えているようなものもあるのです。そのようなもの、そのような時には「納期」というものはひとつの重要な指標になります。

この「在庫」の表記が違うということは、「実際に無いものを売った」ということになります。実際にないアイテムを販売してしまうということは、自社の倉庫にないのに「発送しますので」と偽って販売したことに等しいです。それはまさに「詐欺」であり、やってはいけないことの典型です。納期が遅れるどころか、その商品の調達が困難であるのであれば、それは売ってはいけないものなのです。

これを「空売り」といいます。空売りはもっとも忌むべきことで、商売としての大失態です。実在庫と販売在庫の登録のズレが引き起こしたことです。これは運営の方法が悪いということになります。実際に自社がどれだけの在庫を持って商売をしているのかを把握できていないということになります。通販ではさまざまな部署との連携がポイントになります。いろいろな部署と情報を交換しあい、物流の処理能力の限界や、受注量の限界を見極めながら販促をかけるものです。空売りが頻繁に発生するような状態なのであれば、運営体制を再度見なおした方がいいでしょう。