ネット販売の光と影

今では当たり前の「インターネット」。どんな情報も、いつでも、さらには「どこでも」、自分が興味を持ったものであれば取り寄せることができます。

これは「インターネットがない頃」と比べると革命的なことです。「情報」は古くから私たちの「価値」でした。情報を売り買いするなどということもあったくらいです。「情報」を取り扱う「メディア」はその価値を「人が触れること」に置き、「看板スペース」としての価値を主張し、「広告ビジネス」はとても規模の大きいビジネスとして成立しています。私たちは世の中のことを知ることを本能的に欲しています。自分が所属している「社会」がどうなっているのか、他の人はどのようなことをしているのか、自分は進んでいるのか、遅れているのか、知りたいと思っているのです。

「知りたがり」の私たちには「情報」はそれほど価値があるもので、私たちはそれらの情報を得ることによってただ納得するだけではなく、実際に何かの「行動」を起こすほどです。「流行っているもの」、「新しいもの」、「みんなが持っているから」、「誰も持っていないから」などという情報を得ることで、それらを購入したりするのです。

インターネットはそのような私たちにとってはまさに「魔法」のような技術です。さらには近年急速に進んだモバイル端末の高性能化により、パソコンではなくても、自分の手元で、自分が欲しい情報をすぐに手に入れることができるようになったのです。それはまさに「革命」というにふさわしい変化でした。インターネットはまず「場所」を完全に凌駕したものです。地球の裏側から、日本のニュースを得ることも容易くなってしまったのです。

これにより、「販売」というビジネスは一気に変化を遂げました。従来から「通信販売」という手法は存在していました。それはそれまであった情報ツールを駆使したものです。雑誌、カタログ、テレビ、ラジオなど、人が「情報を得るため」のツールを媒体にして、人に「何かを買ってもらおう」という取り組みはあったのです。ただ、それは大きなメディア上で限られたスペース、限られた時間で行われているものでした。「イチオシ」のものを、とりあえず誰かが見ているだろうという媒体に流し込み、多くの人の目に触れさせて「購入」してもらおうという試みだったのです。

ですが、人が能動的に「情報を探す」インターネットでは、この「誰かが見ているだろう」という推測はまったく嘘になります。「能動的に」ということは、自分から「それが知りたい」と考えて調べるのです。ですからインターネット上には「誰も見ない」情報というものも確実に存在しています。誰も見ないページ、誰も興味を持たないページは、たとえデータとしてWEBサーバーの上に存在したとしても、まったく「意味がない」ものです。意味がないということは、価値がないということです。

インターネットの登場でより「価値」のあるものがわかるようになり、その分効率的にビジネスを行うこともできるようになりました。人の「興味や関心」ということが販売する上で重要な指標になり、より人が「知りたい」と考えていることは一大市場として誰もが注目するようになりました。インターネットによる販売は、より効率的に、より大規模に進化しつつある、まさに激戦地なのです。